「ゆーめーさーきぃぃいいいい!!!」


バキッッ


「ぐふぁっ…!!!」

「会いたかったぞvv」


グギッ


「ぅごあぁぁあっっ!!」





執着 +++side 鈴丸





というわけで、今日は何故かいつも以上に早く雅サンはここへやってきました。

今はもう夜だけど、みやびんてば、夕方頃にこっちきましたよ…。


「今日はやけに早かったんだねー、みやびん」

「そりゃー昨日さっさと追い返されちゃったからね!」

「あんま理由になってないよそれー」

「いやいや充分理由になってるって!あとは、あれだな!早く夢前君に会いたかったからだな!」

「…はぁ」

「あは!照れてる!?照れてる!?」

「残念ながら、これっぽっちも、ちりほども、みじんこほども照れておりまセン」


今日の場所は中世を思わせるような豪華な屋敷。

雅サンはどうやら貴族気分のようで。

メイドさんやらボディーガードやらがいるだだっ広い部屋で、僕らはお茶会を開いておりマス。


「ひゃー、あそこのおっさん怖そうだねぇ。あれもみやびんの望みかい?」

「まぁね。ダンディー大好きvv」

「へ、へぇ…」


ダンディーだかどうだかはわからない(だって、スキンヘッドな波●さんみたいな人だよ!?)けど、とりあえず雅サンはご機嫌のようです。

よかった…これならこないだみたく殴られることはなさそうだ……(ほっ)


ということで、


「で、なんで今日はこんなに早かったの?雅サン」

「だーかーらぁ、早くこっちに来たかったの!」

「…それだけ?」

「うん!」

「それだけでこっちにこんな早くに来たの?」

「そうだよ?だから?」


だから?じゃないよまったく。こっちに長居しすぎることの危険さ、わかってるのかなぁ…。

ずびずび紅茶すすってケーキ食いまくってるあたり、多分わかってないんだろうなぁ…。

どうしよう。

夢前は混乱している(by 某モンスターゲーム)


「だ、だってさ、むこうでまだやることとかあったんじゃないの?」


そう(機嫌を損ねないように)聴いてみると、


「あー、あったかも」


だそうで。おいおいおい!じゃ、なんだ、まだそれらを終わらせないでこっち来ちゃったのかこの人は…!!


「それはまずいよみやびん!」

「へ?なんでさ」

「いやだって、君まだ学生でしょ?勉強するのが仕事でしょ?…てよく大人は言うデショ」


ものすんごい目で睨まれて(しかもちょっと、あの、野球の投手みたくカップ構えてますよ)僕はおもわず後ずさりしてしまいました情けない…。

でも、いつまでもこうやってずるずるとこっちにいて、あっちの世界にいられなくなって、てなったらそれこそまずいでしょ。


「んー…じゃあさぁ」

「?」

「夢前君教えてくれ!」

「……は?」


とかなんとか色々考えてたら、雅サンは突然名案を思いついてしまいまいした。あのですね。教わるくらいなら、むこうで充分すぎるくらい教わってるんじゃないのですか?

…なんて言う前に雅サンはすっかり勉強モードに切り替えたようで、テーブルの上は紅茶やケーキのかわりに、教科書やノート、シャーペンといったものが転がっていた。


「あのさー、みやびん」

「うん?」

「勉強ならむこうでやったほうがいい、と思うんだけ、ど?」


ほら、僕ここの管理人ずっとやってるから、難しいこととかわかんないし。こーじほーげんしき?かがくはんのう?何じゃそら?最近新たに発見された暗号?


「うわー。夢前君て馬鹿だったんだ」

「な…!そ、そうじゃないけど、さ、ほら!」

「そーかそーかそーだったか。夢前は馬鹿、と」

「わあああ!?ちょ、と何やってんのさー!」


わっわっ、顔に書くな!描くな!かくなってー!!消えなくなるぎゃああああ!


「あっはははは!すっごい顔!」

「み、みやびんがやったんじゃないかー!ひいい!」

「あっははは、はぁー!満足、と!」


…んん?今日はもう満足したみたい?そしたらちょうどいいね、もう朝になるし!

これ以上顔に落書きされたくないし!


「そっか!じゃぁそろそろ帰ろu…」


バキン



 テ ー ブ ル 割 っ た こ の 女 ―――――――――――! ! ! 



え、何、今何が起きたの!?怪奇現象!?超能力!?いやいやこの人だよね!?一発芸ですか!?テーブル真っ二つ…!!!


「おおお、おーいみやびん何やって…」

「今日は帰らない!」

「……は!?」

「今日は帰らないっつってんだこの馬鹿顔!」



 君 が や っ た ん じ ゃ な い か 。



そ、それはさておき、今すごいありえない言葉を聴いたような…。


「い、今なんて…?」

「だあああもう何回言わせんじゃボケ!帰らないの!」

「なんで!?」

「なんでってこっちの世界にいたいからに決まってるでしょーが!」


な、何言ってるんだこの人は…!


「駄目!」

「やだ!」

「駄目ったら駄目!」

「やだったらやだ!」


キ、キリがない…ホントにこの人わかってないんだ、ここの怖さが……。


「消えたいの!?」


「……え?」


……のわぁぁぁああああああ!しまった!つい、ぽろっと!ぽろっと!!


「な、にそれ?」

「いや、だから、その、そのまんまっつーかだから早く帰ろう!ね!人間は太陽の下で生きる生き物なんだよ!」

「そういうお前はどうなのさ!」

「いやいやいや僕のことはお気になさらず!ほら、帰った帰った!」

「ええええ、まてすんごい気になる!気になるまんまにするなー!!」

「グッバイ☆」


ボスン。


……ふぅ。危ない危ない。あれは言っちゃいけないことになってるのに。

…でもまぁ、なんとか今日のところは雅サンを帰すこともできたし(明日問質されそうだけど…どうしようかな…)いっか!


それより、どうしたら彼女の執着を解くことができるかなぁ…。まさかここまで執着してしまうとは思わなかった……。





アレは二度と繰り返しちゃいけない、んだから。





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