「盗んだバイクで走り出す〜♪」
最近この世界にまた新しいお客さんが来ました。
なんだかとにかくはっちゃけちゃってます。すんげー面白いっつか変わった人です。つまり変人。
まぁとにかく、その子はこの世界を気に入ってくれたみたいで、今もああして叫びに近いようなの歓声の中、ステージの上で楽しそうに唄を唄ってマス。
……でもさ。
唄ってる唄、みんな古くないか?
ゆめ ++side 鈴丸
「あはー!たーのしかったァァァ!!」
そうこうしてるうちにその子―――雅サン。が戻ってきました。
戻ってきた、と言っても雅サンが望んだから世界がステージから楽屋に変わっただけなんだけど。
…て。あーあーあー、まーたファンだかなんだかの人からもらったもん全部放り投げちゃって。
しかも衣装そのまんまでソファにダイブしちゃ駄目でしょ。
次から着れなくなっちゃうじゃん……まぁ望めばまた出てくるんだけどもさ。
「お帰りー雅サン。今日もまた派手に暴れてたね〜」
「暴れてたとは失礼ね。私はお客さんと有意義な時間を過ごしてただけさ!みんなでエンジョイさ!」
「それにしては照明器具やら音響器具やらぶっ壊して、挙句の果てにはバックスクリーンまで破壊したよねー」
「うっさい黙っとけ暇人」
ガゴン
いやいやいや雅サーン。一応女の子なんだしね、そんなゴミ箱蹴り飛ばすとかはどうかと思うんだよね。うん。
「みやびーん落ち着けー。君純粋で潔白な乙女でしょー?」
「ムキー!誰のせいだと思ってんじゃくんのあほんだらー!雰囲気ぶち壊しじゃー!」
ドゴッペシッパリーン(by 左から北海道名物熊の置物・スリッパ・雅サン専用陶器のコップ)
雅サンご乱心…!!!
いや僕悪いことしてない、ぞ!?ただホントのこと言っただけじゃないかー!
そんな手当たり次第モノ投げないでくれよ…!あ、当ったら痛いでしょ…て
「いてっ!」
ホラ言わんこっちゃない!すんごい衝撃きたよ今!星やらひよこやら飛びそうな衝撃が後頭部にきたよ!
痛いってじんじんするって!じんじんっつかぐわんぐわんっつか!
何で殴りつけたの……て電気スタンドですカまじですカ…!
僕は某魔法使いストーリーの●ビーさんか…!!あ。あれは自虐か。
ととと、とにかく
「ストーーーップ!ストップストップみやびーん!」
「今の私は誰にも止められないぜすっとこどっこーい!」
「わけわからんて…!」
あああ、誰かこの人止めてください。みんな怖がってんじゃんー。
***************************** **** *** ** * *
「あーぁ。雅サンに殴られたとこ、たんこぶ出来ちゃったよー」
「記憶ニゴザイマセン」
雅サンもだいぶ落ち着いてきたみたいです。怖かったー…!
でも折角たんこぶできちゃったこと言いに来たのに、雅サンってばしらばっくれちゃってるよ!
いや確かに君がやったんだし!たんこぶでっかいし!
…て、あれ?
「あ」
「どうした暇人管理人!?」
「みやびん大変〜もう時間だよ。朝になっちゃう!」
「えぇー!もうそんな時間なの!?いやでもあそこの時計はまだまだ夜…」
「それはみやびんが願ったからそうなっただけでしょーが。ホントの時間はもう6時近くだよ」
ちょと吃驚しました。
だってもう朝なんだもん。時間が経つのは早いなぁ…。
て、そういうのを感じるのも久しぶりだなぁ。
「もうそんな時間かぁ…夢前くんーもうちょっといちゃいけないの?」
「だーめ。決まりだからね」
「楽しかったのになぁ…」
そうだよ、駄目なんだ。決まりだから。朝になったら帰らなきゃ。
「最初に言ったでしょ?夢と現実はちゃんと区別しなきゃ」
「いやでもさー」
「いいから!早くして!」
「う〜……じゃぁまた夜になったら来るからいいもんねー」
「……えぇ?」
「じゃね!」
そういうとあっという間に雅サンは帰っていってしまいました。
ありゃりゃー。
とまぁこんなかんじで、最近ここへ来た雅サンはとっても面白い、ここを気に入ってくれた変な子です。
でも最近ここへ来た彼女に僕はとても心配しています。
『この世界に執着するな』
最初に言ったこの台詞、彼女は果たして覚えているのかな…。
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