真っ暗なこの世界にも
光が溢れているのだろうあっちの世界にも
「答え」は、 ない。
「答え」++side 鈴丸
あああもうどれくらい走ったんだろう。
当たり前だけど右を見ても左を見ても真っ暗だし、息はあがってきてるし脚は痛いし。
きっと相当走ってんだろうなぁ。こりゃ明日は筋肉痛かな……
て、それどころじゃないんだって!
「何か少しでも手掛か…りぃぃいいぉあっ!!??」
ドターン…
……いたた…。
あーぁー。こんなトコでコケたりして何やってんだかなー僕は。
「…光…雅サン…」
そいや2人もよく転んでいたっけ?特に雅サン。
「何にも…ない」
そんで起き上がったと思ったら怒り出すんだ。
「手掛かりが…見つからない…」
ニッコニコ笑いながら。
「…………熱い」
視界が歪む。歪む。
どうしてこうなっちゃうんだ。何やってんだ僕は。
こんなトコで止まってる場合じゃないのに。
馬鹿野郎。…大馬鹿野郎。
* * *
『ここが、今日からお前が管理する世界だ』
…あ。懐かしい。
見覚えのある、人。誰だっけ?えーと…
『へぇー!それにしても真っ暗なとこだね。電気はどこだ!?』
お。あれは僕かな。
これはココに初めて来た日の…?なんでまた今更。
というか僕は何を見ているんだ。
『電気なんてあるわけないだろ』
『えぇ!?すっごい不便じゃん!真っ暗じゃん!顔面スライディングだって余裕でできちゃうよ!?』
『…最後のはともかく、まぁそうかもな。でもこの暗闇こそがこの世界だ。そしてココはお前の管轄地だ。選ばれた者にのみ与えられる名誉ある仕事だぞ?』
『ここが?でもなーんもないよ?…は!もしや僕をココに閉じ込めるんじゃ!?』
『……さて、ここの仕事についてだが』
『スルー!?』
あの頃は随分余裕があったなぁ。
まさかこんなことになるなんて夢にも思わなかった。
しかもこんな真っ暗なトコでやることなんて、連日打ち上げ花火あげることかと思ってたし。
それに他に何かあるとしても退屈なんだろうなーって思ってた。
『仕事っつってもさ、そんなたいしたことないんでしょ?』
あ、ほら。
『あのなぁ。ここの管理はそれはそれは重要なことなんだぞ?この世界には外にある別の世界から、己の夢を願いを叶えたいが為に、日々人種国籍性別問わず様々な人間が訪れ――…』
…
……
………
今改めて聞くと…こんなすごいこと説明されていたんだな…。
なんか今までの自分がすごい軽率だった気がしてならない…。
…それよりなにより、長い!!
この人の話ってこんなに長かった!?僕こんなに聞いてた!?
いや聞いてなかったな。呆けてたな。うん。
『…というわけだ。なおこの規則h『ねぇ!』…なんだ?』
あれ?話終わり?あ、僕が止めたのか?
『ここの世界は壊れたり、しない?』
………、…
『ここにいれば、人が壊れたり、しない?消えたり、しない?みんな笑っていられる?僕もそうしていられる?
誰かが苦しまなくて済む?辛い気持ちを抱えないでいられる?人を恨まずに、憎まずにいられる…?誰もかれも、幸福でいられる?』
………ああ、そっか。
こんなに、こんなに、
訴えていたんだ。
聞いてたんだ。
すっかり忘れてた。ずっと、ずっと。
『ねぇどうなの さん』
名前がわからないあの人が、何か言ってる。
そうだ、「答え」は、ここに。
暗闇の中でも光の世界でもない。
ここに、あったんだ。
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